大和証券グループと株式会社Gincoにより、パブリックチェーンにおけるセキュリティトークンの発行PoCを実施しました

大和証券グループと株式会社Gincoにより、パブリックチェーンにおけるセキュリティトークンの発行PoCを実施しました

大和証券グループと株式会社Gincoにより、パブリックチェーンにおけるセキュリティトークンの発行PoCを実施しました

SBTを用いたST移転制限によりハッキングリスクの軽減可能性を検証

株式会社Ginco(本社:東京都中央区、代表者 森川夢佑斗、以下「Ginco」)は、株式会社大和証券グループ本社(本社:東京都千代田区、執行役社長 中田誠司、以下「大和証券グループ本社」)、大和証券株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 中田誠司、以下「大和証券」)、及び、Fintertech株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 相原一也、以下「Fintertech」)と協同で、本邦初のパブリックブロックチェーンにおけるセキュリティトークン(以下「ST」)の発行および発行プラットフォームの開発に向けて、概念実証(以下、「本POC」)を実施しました。 本POCにおいて、各社はパブリックブロックチェーンを用いて社債STと投資家向けソウルバウンドトークン(以下「SBT」)をそれぞれ発行し、トークンの移転を制限することでハッキングによる秘密鍵流出リスクを軽減可能なことを検証しました。

Gincoは、Web3 Development CompanyとしてWeb3進出を支援するインフラ&ソリューションを提供しています。Gincoの提供サービスは、顧客企業が自社の競争領域にリソースを集中し、より魅力的なWeb3事業を創出するためのインフラとして、多くの企業にご利用いただいております。

また、本POCを実施する大和証券グループは、中核子会社である大和証券がブロックチェーン技術を活用したデジタル証券であるSTを2022年2月に事業化し、これまでの資産裏付型STの累計引受額は約338億円であり、2024年2月29日時点において、大和証券は金額ベースで国内トップのシェアを有しています。

本POCは、ST領域におけるパブリックブロックチェーンの活用可能性を模索すべく、実用化に向けたハードルとして論じられてきた「ハッキングによる秘密鍵の流出」「犯罪による収益の移転防止に関する法律における取引時確認」などの課題のうち、主に「ハッキングによる秘密鍵の流出」に焦点を当て、SBTの実用性を検証するものです。

本POCを通じて、SBTを活用することでハッキングによるSTの不正移転を防止するために一定の有効性を持つことが分かりました。


これらの成果を踏まえ、本POCに参加した各社は今後もパブリックブロックチェーンを用いたST発行環境の整備に取り組んでまいります。

  • POCの詳細

本POCは、2023年の発表通り以下の参加企業により実施されました。

参加企業

POCにおける役割

大和証券株式会社

本実証実験の統括、プランニング、検討内容の整理・確定

Fintertech株式会社

SBTの発行

本実証実験における技術的なアドバイス・検証

株式会社Ginco

本実証実験におけるシステム環境の構築

本実証実験における技術的なアドバイス・検証

本POCにおいて実施されたハッキング実験は、以下の4つになります。

盗まれる秘密鍵

実験の検証スコープ

実験1

STを保有する投資家の秘密鍵

ハッキングによる不正な移転をSBTで制限することが可能か

実験2

SBT発行体の秘密鍵

SBTのオーナー権限でSBTを不正に付与されたときに、ハッキング前の状況に回復可能か

実験3

STを保有する投資家の秘密鍵

SBTを保有している同士で不正な移転が起きたときにハッキング前の状況に回復可能か

実験4

ST発行体の秘密鍵

STのオーナー権限でSTを不正に付与されたときにハッキング前の状況に回復可能か


その成果として、以下の検証結果が確認されました。

ハッカーにSTを保有する投資家の秘密鍵が盗まれた場合、ハッカーがSBTを持たない別のアドレスに対してSTを移転しようとしても、移転が不可能であること。

SBT発行体の秘密鍵がハッキングされ、ハッカーのアカウントにSBTが付与されるケースにおいても、コントラクトのオーナー権限を行使しSBTの無効化とSTの強制移転を行うことで、ハッキング前の状況を回復可能であること。

SBTを保有している投資家間での不正移転は、コントラクトのオーナー権限を行使しSBTの無効化とSTの強制移転を行うことで、ハッキング前の状況を回復可能であること。

ST発行体の秘密鍵がハッキングされた場合においても、オーナー権限による既存コントラクトの無効化と新規STの発行・付与を行うことで、ハッキング前の状況を回復可能であること。

  • 今後の展望

本POCでは、発行体である大和証券グループ本社が投資家を勧誘し、証券会社による私募の取扱い・媒介等は行わず、保護預かりも行わない形式としました。今後、投資家の利便性を考え、証券会社による私募の取扱い、媒介、保護預かり等が可能な体制を整えることが検討されています(Phase1)。

また、将来的には、投資家のアンホステッドウォレットの利用を認める場合(Phase2)についても検討していく方針です。Phase2では、証券会社保護預かりの口座から、アンホステッドウォレットに移転する際に、犯罪による収益の移転防止に関する法律における取引時確認を適切に実施できるかが論点となります。こうした際にどのような対応が考えられるかは、ステーブルコインの移転を行う電子決済事業者等取引業者において求められる措置などを参考にしながら、法制度の整備も含め、業界全体で検討していく必要があるものと考えます。

POC参加各社の概要

  • 株式会社大和証券グループ本社について

会社名:株式会社大和証券グループ本社

所在地:東京都千代田区丸の内一丁目9番1号 グラントウキョウ ノースタワー

代表者:執行役社長 中田 誠司

設 立:1999(平成11)年4月26日

企業URL:https://www.daiwa-grp.jp/

  • 大和証券株式会社について

会社名:大和証券株式会社

所在地:東京都千代田区丸の内一丁目9番1号 グラントウキョウ ノースタワー

代表者:代表取締役社長 中田 誠司

設 立:1999(平成11)年4月26日

企業URL:https://www.daiwa.jp/

  • Fintertech株式会社について

会社名:Fintertech株式会社

所在地:東京都千代田区一番町5番地アトラスビル6階

代表者:相原 一也

設 立:2018年4月2日

事業内容:次世代金融領域における新たな金融サービスの創出、運営

企業URL:https://fintertech.jp/

  • 株式会社Gincoについて

会社名:株式会社Ginco

所在地:〒104−0032  東京都中央区八丁堀三丁目27-4

代表者:森川夢佑斗

設 立:2017年12月21日

事業内容:クラウド型ブロックチェーンインフラおよび、同インフラを利用した各種エンタープライズサービスの開発・運営・提供

企業URL:https://ginco.co.jp/


記事選定/ライター
NFT-TIMES 長尾英太

ブロックチェーン技術記者、長尾といいます。ブロックチェーンについては投資/投機的な観点よりも、技術として未来の社会でどのように取り込まれていくかを中心に発信したいです。最近ではNFTやメタバースなどに注目しています。 1989年11月7日千葉出身。大学卒業後IT企業に入社。2017年にブロックチェーンの技術ライターとして独立。 Twitter
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