今治市と㈱SUNABACOが育成したAI人材が業務改革提案
今治市とSUNABACO、AI人材育成で業務改革を提案
今治市と㈱SUNABACOが共同で実施した第1期AI人材育成講座が終了し、10月19日に卒業制作発表会が行われました。この講座には、約80名の受講生が地域の各業界から参加し、2か月間で実践的なAIスキルを習得しました。発表会では最優秀賞を獲得したチームが開発したアプリケーションが1,000万円のコスト削減が可能であると高く評価され、AIが業務改善に貢献できる実例が示されました。今治市は今後もAI人材を育成し、地方創生を推進する意向を示しています。
この記事の要約
- 今治市と㈱SUNABACOがAI人材育成講座を実施。
- 最優秀賞の提案が1,000万円のコスト削減を実現。
- 今後もAI人材育成に取り組み、地方の課題解決を目指す。
今治市と㈱SUNABACOによる第1期AI人材育成講座が修了し、10月19日に卒業制作発表会が開催されました。
専門知識がない状態から2か月間で、業務の現場で活用可能なAIスキルを身につけることができる本講座には、地元の造船、繊維、医療、農業など様々な業界から約80名の受講生が参加。発表会で最優秀賞を獲得したチームは、1,000万円のコスト削減が可能なアプリケーションを開発し、「明日からでも使える」「水平展開したい」と絶賛され、AIが現場の業務改善に貢献できることを証明しました。
今治市では、地方の課題解決に向けてAI人材育成をさらに推進し、全国の地方創生モデルとなることを目指します。
1,000万円のコスト削減が実現可能!?
■AI予測アプリで造船部品の過剰発注を解消
今回の卒業制作発表会では、18チームがAIを活用した業務改善提案を発表。その中から、大手造船会社・㈱新来島どっくの社員を中心としたチームが「パイプ部品AI予測システム」を提案し、最優秀賞を獲得しました。これまで社員の勘と経験に頼っていた造船部品の発注業務を、AIを活用して部品の必要数を予測し、過剰発注を解消することで、わずか2つの部品だけで約1,000万円のコスト削減効果を生み出しました。
この革新的な提案は、造船業界の生産効率を大幅に向上させる可能性があり、審査委員から高い評価を 受けると同時に、AI活用が業務改善に直結することを証明する成功モデルとして、発表会に大きなインパクトをもたらしました。
AI人材育成の背景・地方の課題を解決するキーワード「DX・リスキリング」
■専門知識がなくてもAIを活用した業務改善が可能に
今治市と㈱SUNABACOが共催する「AI人材育成講座」は、AIやプログラミングの専門知識を持たない受講者を対象に、業務の現場でAIを活用した業務改善に取り組むことができる人材の育成を目的として開催しています。
講座では、1か月半にわたる延べ54時間の講義と2週間のPBL(プロジェクトベースドラーニング)を通して、AIの基礎知識から実践的なスキルまでを学びます。今回の受講生の中には、「造船」「繊維」「医療」「農業」など多様な分野の地元企業から多くの参加者があり、各業界でのAI活用の可能性が広がっています。
■地方発のリスキリング!業務効率化を目指す企業の成功事例
今回のAI人材育成講座は、地方の企業が抱える課題をAI技術で解決することを目指し、実践的なリスキリング(再教育)の一環として行われました。船舶の総合電機メーカー・BEMAC㈱や繊維商社・田窪㈱など地域の有力企業からも参加があり、営業効率化アプリや業務予測アプリなどが開発されました。これらのアプリケーションは、すでに現場での業務効率化に貢献しており、地方企業の成功事例として注目されています。
■AI技術で地方のDX推進を加速
今治市では、人口減少に起因する労働力不足の課題を解決するため、DX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に推進しています。特に、造船や繊維といった主要な地域産業にAIを導入することで、生産性を向上させ、地域経済の活性化ひいては地域経済循環の強化を図ることを目指しています。
地方の未来を支えるAI人材育成
■今治の人材育成プロジェクトを地方創生のモデルケースに
今後も今治市と㈱SUNABACOは、地域のDXを推進するためAI人材の育成を推進していきます。この取組は、AI技術を活用して地域産業を強化し、地元企業の競争力を高めることで、地域の生産性・所得向上につながり、今治の未来に向けた持続可能なまちづくりを支えるものです。
今治市では、こうした新たな人材育成プロジェクトを通じて、全国的にも地方創生のモデルケースとなることを目指しています。
発表会の模様や各チームの提案の詳細は、以下のリンクからご覧いただけます。
第1期AI人材育成講座 卒業制作発表会
https://www.youtube.com/live/fEipF0Dv4iM?t=0s
○それぞれのチームの発表はこちらから
㈱新来島どっく | パイプ部品AI予測
AIによる予測で造船時の過剰部品のコストカットを可能に。
今回試算では2種の部品だけで1,000万円コストカット
https://www.youtube.com/live/fEipF0Dv4iM?t=6651&si=hT4VhMHEs6z8WwmL
田窪㈱ | AIによる営業改善
https://www.youtube.com/live/fEipF0Dv4iM?t=3169&si=nVhTY6CvbtwS4QqV
BEMAC㈱ | 作業予測アプリケーション
https://www.youtube.com/live/fEipF0Dv4iM?t=974&si=Y9JLs4gEJhMLo3CA
浅川造船・BEMAC連合チーム | 造船営業時の営業資料のAIによる効率化
https://www.youtube.com/live/fEipF0Dv4iM?t=8936&si=_MGHwcLm23j2GWYh
現役医師 | 診療現場のAIによるDX推進
https://www.youtube.com/live/fEipF0Dv4iM?t=5459&si=V0JfGlIAS_sLgwg2
㈱新来島どっく | パイプ製作工程のAIによる効率化アプリケーション
https://www.youtube.com/live/fEipF0Dv4iM?t=4514&si=Pob8rDZ31P7oefKp
地元印刷会社㈱プライム・ハラ | AI工場長
https://www.youtube.com/live/fEipF0Dv4iM?t=7951&si=s_GwaBgrcuRrWfUu
西田精麦㈱(八代市) | AIによる機会損失の削減
https://www.youtube.com/live/fEipF0Dv4iM?t=2024&si=3mB09tlqL5JOFok7
出演者からのコメント
○浅川造船株式会社
取締役 設計部 部長 兼 DX推進室 室長 浅海正明 氏
(浅川造船・BEMAC連合チーム)
“AI”はバズワードであり興味があるものの、AIで“できる”と言われている事が膨大すぎて取っ掛かりがなく、弊社にどう活用できるのか全く想像できない状態でした。そんな折にAI人材育成講座を紹介され、週3日19時~22時を2か月というスケジュールに、プレッシャーを感じながらも受講しました。
体系的な講義に加え、実際に手を動かす実習によって、掴みどころのなかったAI技術の輪郭が掴めるようになり、中身がわからない技術から、自身でもある程度開発できる身近な技術であると認識できるようになりました。
混成チームによる2週間の卒業制作では私のテーマが採用され、膨大な仕様書の構造化とデータベース化に挑戦しましたが、人力では何度かトライして諦めていたことがAIによって簡単に実装できました。発表会では予選会を勝ち抜き、決勝にも進むことができ、様々なアドバイスを貰ったチームメンバーには感謝しています。
私は今治会場で受講しましたが、現地受講者の仲間がいることで安心できましたし、全国各地のリモート参加者とslackやXを使ってコミュニケーションを取りながら講義が進むスタイルも新鮮で、終わってみるとあっという間の充実した時間でした。様々な職業、バックグラウンドの方が80名近く参加されており、講座の注目度の高さが伺えました。弊社からも5名参加しましたが、それぞれ素晴らしい学びを得ており、大変有意義な講座であったと確信できます。
○株式会社新来島どっく
技術設計本部 基本設計部 船型研究所 兼 設計生産システム革新室 片岡史朗 氏
(パイプ部品AI予測チーム)
今回の講座受講の最大の成果は、業界が抱える課題の解決や業務改善のソリューションとして「AI技術」が非常に有効であることを実際に確認できたことです。今後も講座で学んだ「AI技術」を活用し、自社だけでなく業界全体、さらには地域産業の発展に寄与するよう取り組んでいきたいと考えています。
○BEMAC株式会社
パワーエレクトロニクスセグメント 執行役員/セグメント長 兼務 東京データラボ 室長
中内大介 氏
プレゼンテーションを聞いて、まず感じたのは「驚き」でした。2か月間で、AIの技術を学び、DXの本質を理解し、新規事業開発のフレームワークが身に付くものなのか、生き生きとした眼差しでプレゼンをする姿を見て、目を見張りました。
今回、弊社から様々な部署の8名が参加しています。身につけたAIの知見に、現場の良質な課題を掛け合わせ、社内改革をリードしていくことを大きく期待しています。このプラットフォームを今治に立ち上げてくれたSUNABACOと今治市役所のご尽力に心から感謝いたします。講座に参加された皆さま、”人生を変える2か月”、本当にお疲れさまでした!
【関連イベント】
■今治イノベーションラボ(仮称)オープニングイベント
地場産業の新たなイノベーション支援拠点となる「今治イノベーションラボ(仮称)」がオープンします。この施設には、世界初導入となる大型3Dプリンターや協働ロボットなどの最先端技術を搭載した設備が導入されます。
オープニングイベントを下記のとおり開催します。15時からの記念イベントには、AI人材育成講座の卒業制作発表会の優秀チームが登壇し、たった2週間のPBLで作り上げた自社課題解決のための業務改善ツールを発表します。
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日時:令和6年11月18日(月)
内覧会 14:00~15:00
記念イベント 15:00~17:00
交流会 17:00~18:00
場所:今治地域地場産業振興センター 大ホール
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○オープニングイベントへの参加申込はこちらから(一般の方も参加可能です)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdHdv2pm03Y80GALfauAfoai87MHGDKk-SlBKFuLsmE4dRqVw/viewform
○イノベーションラボオープニングイベント(今治地域地場産業振興センターHP)
【関連サイト】
○今治市公式ホームページ
https://www.city.imabari.ehime.jp/
○企業立地連携協定の締結について(株式会社SUNABACO)
https://www.city.imabari.ehime.jp/kigyou/kyoutei/SUNABACO/
○「日本最大の国際海事都市・今治」から発信する海事産業のイノベーション
フォーラム「最新テクノロジーを活用した海事業界の未来に向けて」開催サマリー
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000136949.html
○今治市戦略的情報発信プロジェクト