ロート製薬とPKSHA、寄り添い型音声対話AIの開発開始

ロート製薬とPKSHA、寄り添い型音声対話AIの開発開始

ロート製薬とPKSHAが音声対話AIを共同開発開始

ロート製薬株式会社はPKSHA Technologyと共同で、孤独感を抱える子どもや高齢者を支援するための寄り添い型音声対話AIの開発を始めました。このAIは、コミュニケーションを促進し、ウェルビーイングの向上を目指すものです。日本では、孤独や孤立を感じる子どもが多いという調査結果があり、社会問題として深刻化しています。それに伴い、令和6年には孤独・孤立対策推進法が施行され、具体的な施策が求められています。この背景を受け、両社は新たな技術を通じて社会貢献を果たそうとしています。

この記事の要約

  • ロート製薬とPKSHAが寄り添い型音声対話AIを開発。
  • 子どもや高齢者の孤独感を軽減する目的でスタート。
  • 日本の孤独問題は深刻で、法律も施行される。

ロート製薬株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:杉本 雅史)は、株式会社PKSHA Technology(読み:パークシャ・テクノロジー、本社:東京都文京区、代表取締役:上野山 勝也、以下PKSHA)と、「半蔵門のびすここどもクリニック」の河嶌讓医師(児童精神科)協力のもと、寄り添い型音声対話AIを共同開発したことをお知らせします。

■研究開発の背景

ロート製薬の存在意義(パーパス)は、世界の人々に商品やサービスを通じて「健康」をお届けすることによって、当社を取り巻くすべての個人や社会をウェルビーイングに導き、世の中を元気にすることです。事業のコアバリューである健康を軸に、社会課題やお客様の変化を背景に、新たな領域にも厭わず挑戦を続けてまいりました。

貧困、教育格差、虐待、いじめなど、日本の子どもたちを取り巻く社会課題は多様化・深刻化しており、OECD加盟国の中で「孤独を感じる」と答えた子どもの割合は3割と、日本が他国に比べて突出しているという調査もあります*1。また、日本は超高齢社会を迎え、高齢者の孤独・孤立感も課題となっており*2、これらの現状を受けて令和6年4月1日には孤独・孤立対策推進法が施行され、具体的な施策が求められています。

こうした背景から、当社では、特に孤独・孤立の問題を抱えやすい子ども・若者や高齢者のウェルビーイングをサポートすべく、コミュニケーション領域のAIに強みを持つPKSHAと共に対話型AIの開発を進めてまいりました。

*1:UNICEF, Child poverty in perspective: An overview of child well-being in rich countries, Innocenti Report Card 7, 2007 UNICEF Innocenti Research Centre, Florence.

*2:内閣府調査

■寄り添い型音声対話AIの特長

寄り添い型音声対話AIは、人の言葉に対して音声で回答を返すシステムで、パソコンやタブレット等のデバイスから利用可能です。生成AIをベースにしつつ、より「傾聴」に特化した対話ができる点が特長です。具体的には、利用者の質問に対してすぐに答えを導くのではなく、内容を理解した上で傾聴を行い、不安を煽る表現の削除や、自然な対話ができる適切な会話速度を実現しています。こうした対話により、内省や、振り返りを通じた気づきを促すサポートを行います。

また、特定のトピックを深掘りするための相談モードや、会話を楽しむためのおしゃべりモードも備えており、気軽に悩み相談をしたり、同年代の友達には話しにくいトピックについて会話したりすることで、心理的にポジティブな影響を得られることが期待できます。

タブレットで対話しているイメージ

■地方自治体等での検証を開始

プロダクトの社会実装に向けて、何らかの理由で学校に行けない子どもたちを対象に検証を行いました。その結果、実施後のアンケートでは回答者30名のうち33%が「とても楽しかった」、66%が「楽しかった」という回答が得られました。「人間と話しているように悩みを聞いてもらい、心が軽くなった」「普段話せない半導体についてたくさん話ができた」などのコメントがあり、悩みそのものについて話さなくとも、興味のある話を共有することで気分が向上することが確認できました。また、AIだからこそ相手の気持ちを気にせず日常の悩みを話せたという声もありました。

■今後の見通し

本製品は、治療目的ではなく、孤独・孤立感の解消を支援する目的で開発しました。今後は、子ども・若者や高齢者だけでなく、孤独・孤立が課題となりやすい場所での活用も視野に入れ、多様なユースケースを探索していく企業や行政等のパートナーと協業し、サービスを展開していきます。

例えば、工場内で働く従業員が、忙しく働く中で周囲に話しかけづらい状況などを想定し、作業中の悩みや困りごとに寄り添うAIとしても活用を検討中です。エッセンシャルワーカーのメンタルヘルスをサポートし、多様な人材が工場内で安心して働き、活躍できる職場環境の実現を目指します。

PKSHA Technologyについて

「未来のソフトウエアを形にする」をミッションに、企業と人の未来の関係性を創るべく自社開発した機械学習/深層学習領域のアルゴリズムを用いたAIソリューションの開発・AI SaaSを提供しています。自然言語処理技術を用いた自動応答や、画像/動画認識、予測モデルなど多岐に渡る技術をベースに顧客の課題にあわせた解決策を提供する他、共通課題を解決するAI SaaSの展開により、ソフトウエアの社会実装を多面的に支援し、人とソフトウエアが共に進化する豊かな社会を目指します。

会社名 :株式会社PKSHA Technology

所在地 :東京都文京区本郷 2-35-10 本郷瀬川ビル 4F

代表者 :代表取締役 上野山 勝也

ホームページ:https://www.pkshatech.com/

半蔵門のびすここどもクリニックについて

身体と心の両面から、子どもの専門医(小児科専門医と児童精神科医)が診察しているクリニックです。地域内での連携を重視し、子どもたちの健やかな成長をサポートしています。

所在地: 東京都千代田区一番町4-16プルミエール一番町1階

ホームページ:https://nobisuko.jp

記事選定/ライター
NFT-TIMES 長尾英太

ブロックチェーン技術記者、長尾といいます。ブロックチェーンについては投資/投機的な観点よりも、技術として未来の社会でどのように取り込まれていくかを中心に発信したいです。最近ではNFTやメタバースなどに注目しています。 1989年11月7日千葉出身。大学卒業後IT企業に入社。2017年にブロックチェーンの技術ライターとして独立。 Twitter
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