日本メナード化粧品、植物エキスの「ジグリセリド」が肌の幹細胞増加を確認
メナード化粧品が幹細胞を増やす成分を発見
日本メナード化粧品株式会社は、西洋実ザクラの種子から得られる植物エキスに含まれる「ジグリセリド」が肌の幹細胞を増加させることを確認しました。独自のAI技術を用いて、ジグリセリドを含む製剤を3か月間使用した後の肌を分析した結果、表皮幹細胞が増えていることが明らかになりました。この研究は幹細胞への効果を示す重要な成果であり、肌の再生を促進する新たな成分として期待されています。研究成果は国際的な学術大会でも発表され、今後の化粧品開発に寄与することが期待されています。
この記事の要約
- メナード化粧品が「ジグリセリド」を発見、幹細胞増加を確認。
- 独自AI技術で3か月間の製剤使用後、表皮幹細胞が増加。
- 研究成果は国際化粧品技術者会連盟で発表、期待される成分に。
日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、これまでに肌の幹細胞を増やす効果を見出している植物エキス(西洋実ザクラの種子から抽出したエキス)に含まれる成分について、詳細な分析および効果検証を実施しました。その結果、このエキスに含まれる「ジグリセリド※1」と呼ばれる脂肪酸エステルが肌の幹細胞を増やす効果を持つことが明らかになりました。さらに、肌内部を可視化する独自AI技術を用いて、ジグリセリドを多く含む成分を配合した製剤を3か月間使用した前後の肌を解析した結果、使用後に表皮幹細胞が増えていることを確認しました。これらの結果から、ジグリセリドは肌の再生を高める成分として期待されます。
私たちの肌の機能は、幹細胞から新しい細胞が生み出されることによって維持されています。メナードはこれまでに、肌の幹細胞の減少が乾燥やシワ・タルミといった肌老化につながることを発見しています。さらに、西洋実ザクラ(Prunus avium)の種子から抽出したエキス(西洋実ザクラ種子エキス)に表皮の幹細胞を増やす効果があることを見出してきました。今回、西洋実ザクラ種子エキスに含まれる成分のうち、幹細胞を増やす成分の特定を進めました。その結果、幹細胞を増やす成分として脂肪酸エステルの一種である「ジグリセリド」を特定しました。また、非侵襲的に肌内部の幹細胞を可視化する独自AI技術を用いて、ジグリセリドを多く含む成分を配合した製剤を3か月間使用した肌を解析した結果、実際に表皮幹細胞が増えることを確認しました。本研究は、幹細胞への効果が期待される成分が実際に肌で効果を発揮することを直接示した貴重な成果といえます。
なお、本研究成果の一部は、2024年10月14日から17日にかけてブラジルのイグアスで開催された第34回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)学術大会にて発表しました。
※1 グリセリンの3つの水酸基のうち、2つに脂肪酸が結合した脂肪酸エステルの一種。
<参考資料>
1.西洋実ザクラ種子エキスから幹細胞を増やす成分を特定
メナードはこれまでに、肌の幹細胞の数が減少し、新しい細胞が供給されなくなることが肌の老化の根本原因であることを発見しており、西洋実ザクラの種子から抽出したエキスに肌の幹細胞を増やす効果を見出しています。今回、西洋実ザクラ種子エキスに含まれる成分の中で、肌の幹細胞を増やす効果を持った成分の特定を試みました。
エキスに含まれる成分の分離・精製を繰り返し、単離された成分について肌の幹細胞(表皮幹細胞)に対する効果を検証した結果、「ジグリセリド」と呼ばれる成分に表皮幹細胞の増殖を促す効果があることを見出しました。また、見出したジグリセリドを添加して三次元培養表皮モデルを作製した結果、表皮の形成が促され、未添加のモデルより厚い表皮が形成されました。
以上の結果から、西洋実ザクラ種子エキスに含まれているジグリセリドが表皮幹細胞を増やす成分であることがわかりました。
2.実際の肌の幹細胞に対するジグリセリドを多く含む成分の効果の検証
肌内部の幹細胞の状態を確認するため、非侵襲的に肌の内部構造を高解像度でイメージングできるLC-OCT※2の技術を応用しました。これまでにメナードでは、LC-OCTで得た映像を独自開発したAIで分析することで、肌内部に存在する表皮幹細胞を可視化する技術を開発しています※3。今回、AIのアルゴリズムを構築し直し、より感度よく表皮幹細胞を検出できるシステムへと進化させました。
ジグリセリドが多く含まれる成分を開発し※4、この成分を配合した製剤を3か月間使用した前後の表皮幹細胞を解析した結果、使用3か月後には表皮幹細胞の数が増えていることが確認できました。さらに、表皮が厚くなっていることも確認し、この成分によって肌の再生が促進されたと考えられました。
※2 LC-OCT(Line-field Confocal Optical Coherence Tomography)
ラインフィールド共焦点光コヒーレンストモグラフィー。共焦点顕微鏡と光干渉断層計の組み合わせに基づくイメージング技術で、皮膚組織を細胞レベルで映像化できる非侵襲的な解析手法。
※3 関連ニュースリリース
「個々の肌の再生能力を予測するシステムを開発! ~肌の外部から内部の幹細胞を可視化する技術~」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000059.000048666.html
※4 西洋実ザクラの種子から脂溶性の成分を抽出することで作製。ジグリセリドは水に溶けにくく油に溶けやすい脂溶性の性質を持つため、脂溶性の成分の抽出法により多く抽出される。