ストックマーク、産総研グループと生成AIで産学連携支援システムを展開
ストックマークが産総研と生成AIによる連携支援システムを開発
ストックマーク株式会社が国立研究開発法人産業技術総合研究所、株式会社AIST Solutionsと協力し、企業のビジネス課題と研究機関の技術を結びつける「産学連携ビジネスマッチング提案システム」を開発します。このシステムは、産総研の保有技術と企業のニーズを精確にマッチングさせ、企業と研究機関の連携を強化することを目指しています。また、エンタープライズ企業からのフィードバックや先端技術を活用して、社会的な課題解決やイノベーション創出を促進する役割を果たします。
この記事の要約
- ストックマークと産総研が連携し、生成AIシステムを開発。
- ビジネス課題と研究技術をマッチングさせることを目指す。
- エンタープライズ企業のフィードバックを基にシステムを最適化。
ストックマーク株式会社(本社:東京都港区、社長:林 達、以下:ストックマーク)は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下:産総研)、株式会社AIST Solutions(以下:AISol)と協業し、企業のビジネス課題と研究機関の保有技術をつなぐ革新的な生成AIシステム「産学連携ビジネスマッチング提案システム」を開発いたします。
当システムは、産総研とAISolの2組織(以下、産総研グループ)とAISol認定スタートアップである当社が共同で開発を行い、産総研グループが保有する技術(シーズ)と企業における事業課題や社会課題(ニーズ)を効率的かつ高精度にマッチングさせることが可能です。今後、当社は、開発するシステムを通じて、新たに産総研グループと協業し、産学連携市場をより強力に支援いたします。
本事業の概要
本事業では、ユーザーが入力したビジネスワードや社会課題(ニーズ)から、産総研が保有する特許や技術(シーズ)の検索や、それらを活用した事業アイデアを出力することが可能な、生成AIを活用した「技術シーズ」と「市場ニーズ」のマッチング提案システムを構築することで、産総研グループが保有する特許・技術の社会実装加速を目指します。
また当システム開発は、当社が独自に開発したLLMに加え、エンタープライズ企業300社からのフィードバックを得て、7年間蓄積してきた「ビジネスデータ」と「データクリーニング」、データをAI学習向けに変換する「構造化」、一つ一つの概念を理解し概念同志を結びつける「ナレッジグラフ」、「高精度なRAGシステム」等の先端技術を活用します。
なお、産総研グループがこれまでに取り組んできた年間1,700件以上の共同研究や技術コンサルティングを通じて蓄積された、専門的な知識やスキルなど産学連携コーディネーターの豊富なノウハウを組み込み、より多くの企業や研究機関が効率的に連携できるよう、産業界全体に向けて公開される予定です。これにより、企業と研究機関の連携関係がさらに深まり、今後のイノベーション創出を強力にサポートすることが期待されます。
マッチングシステム開発のポイント
ビジネスマッチング提案システムを構築する上で、当社は「データベース整備」「ナレッジグラフ構築」「生成AIの精度」の3つのポイントに注力して開発を行います。
データベース整備
昨今の生成AIブームにより、企業の中にある大量のデータをAIで活用しようとする動きが広がっています。しかし、多くのデータは異なる形式で保存されており、そのまま生成AIでの活用しようとしても、表やグラフの情報をうまく理解出来ないことがあります。そのため、データをAIが扱いやすいように整理し、テキスト形式に変換する必要があります。
今回の取組みにおいても、産総研が保有するデータや外部のデータを構造化することにより、生成AIによる正確な出力や、高精度なRAGの実装を可能にします。
ナレッジグラフ構築
当社は、言葉の意味を理解するだけなく、言葉同志のつながりも理解できる「ナレッジグラフ」の構築に強みを有しております。これによって、同じ意味なのに違う表現をされるビジネス用語を結びつけ、産業界と学術界の言葉の差異を解消し、滑らかなビジネスマッチングを可能にします。
この技術により、単にビジネスで使われる言葉を入力しても、そのまま検索されるのではなく、 その言葉の意味や関連する概念も含めて検索できるようになるため、ビジネスマッチングに適した検索と高精度な生成を可能にします。
生成AIの精度
当社は、産業界の実務で活用できる高精度な生成AI基盤モデル(国産LLM「Stockmark-LLM」)を開発しています。パナソニックHD様との「Panasonic-LLM-100b」の共同開発や、日本ガイシ様でも新しい用途を探すための実験など、当システム開発においても、より正確なビジネスマッチができる生成AI基盤の構築を目指します。
当社の生成AI社会実装に関する実績
当社はこれまで、国内におけるLLM開発のトップランナーとして日本語及びビジネス領域に強い国産LLMの開発研究を行ってまいりました。
2023年8月に14億パラメータの日本語LLMを公開、同年10月には130億パラメータの日本語LLM「Stockmark-LLM-13b」を公開、2024年5月には国内最大級となる1,000億パラメータLLM「Stockmark-LLM-100b※1」を公開し、当社のプロダクトへの実装や、パナソニックHD様との「Panasonic-LLM-100b」の共同開発、日本ガイシ様における新規用途探索の高精度・高速化を目的とした実証実験など、豊富な生成AIの社会実装経験を保有しています。
※1:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下:NEDO)の事業である、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G情報通信システムの開発」において開発され、2024年5月に公開したLLMです。
当該事業は、国内の生成AIの開発力強化を目的として経済産業省が実施するGENIACプロジェクトと連携して実施されているものであり、国内事業者に対して生成AIの開発に必要な計算資源の確保と利用料補助を実施するものです。
【参考】
パナソニックHDとストックマーク、
国内最大規模(1000億パラメータ)の独自日本語LLM「Panasonic-LLM-100b」開発で協業
URL:https://stockmark.co.jp/news/20240702
日本ガイシ株式会社 新規用途探索の高精度化・高速化を目的に
ストックマークの独自LLMを活用した実証実験を開始
URL:https://stockmark.co.jp/news/20240208
各社コメント
ストックマーク株式会社 代表取締役CEO 林 達
「技術シーズと市場ニーズをマッチングし、新たな事業アイディアを創出する」、製造業等多くの企業の皆様が共感されるフレーズかと思います。
しかし、一度取り組みを開始すると、認知を超える膨大なデータ量、マッチングのベースとなる機能や効能の関係性ロジック、新規性や実現可能性の評価、、様々な課題に直面することが予想されます。
今回、産総研及びAIST Solutionsとの連携により、それらの課題解決を10年早めることを目指します。
弊社が持つデータ基盤 / 生成AI基盤 / プロダクト基盤と、産総研の特許・技術情報、AIST Solutionsの業務知見やコンサルティング力を掛け合わせ、あらゆる産業に適用可能な事業アイディア創出の型を生み出したいと考えています。
そのノウハウを国内外の企業様にご活用いただくことで、産業協力の強化、日本社会の発展に貢献して参ります。
株式会社AIST Solutions 代表取締役社長CEO 逢坂 清治のコメント
生成AI技術は、自然言語処理による高度な文章生成や、画像・音声の自動生成など、急速に発展しています。産業界でも、AIやDXを活用した事業課題の解決が急務となっており、新たな付加価値を創出する(攻め)戦略が必要とされています。
AIST Solutionsでは、産学連携支援にて培われた提案力、コンサルティグ力などの高度なスキルやノウハウを基に、開発される生成AIシステムを活用する事で、お客様の事業課題に対するソリューションをワンストップで提供します。単なる問題解決にとどまらず、事業化に向けた具体的な提案や新たな価値創出に至るまで、お客様の事業発展を強力にサポートいたします。今後も日本の産業技術エコシステムを構築するため、オープンイノベーションを通じて社会に貢献し続けます。ぜひ、皆様からのご相談をお待ちしております。
株式会社AIST Solutions
代表取締役社長CEO:逢坂 清治
本社所在地:茨城県つくば市梅園一丁目1番1号
URL:https://www.aist-solutions.co.jp/
ストックマーク株式会社について
ストックマーク株式会社は「価値創造の仕組みを再発明し、人類を前進させる」をミッションに掲げ、最先端の生成AI技術を活用し、多くの企業の企業変革を支援しています。
社内外の情報をワンストップで検索できる「Anews」及び、あらゆるデータを構造化し企業の資産に変える「SAT(Stockmark A Technology)」を運営しています。さらに、企業特化生成AIの開発や、独自システムの構築も支援しています。
会社名 :ストックマーク株式会社
所在地 :東京都港区南青山一丁目12番3号 LIFORK MINAMI AOYAMA S209
設立 :2016年11月15日
代表者 :代表取締役CEO 林 達
事業内容:自然言語処理を活用した、
事業機会の探索と意思決定の支援を行うサービスの開発・運営
URL :https://stockmark.co.jp/