デジハリ・オンラインスクールが生成AI活用に関する調査結果を発表

デジハリ・オンラインスクールが生成AI活用に関する調査結果を発表

デジハリ・オンラインスクールが生成AI調査結果を発表

デジタルクリエイティブ分野における生成AI技術の進化に伴い、クリエイターの意識や心情の変化を探るため、デジハリ・オンラインスクールは「クリエイターと生成AIに関する意識調査2024」を実施しました。この調査では、クリエイティブ初心者からベテランまでを対象に、生成AIに対する印象や、クリエイティブ視点への影響、情報収集手段について分析しています。目的は、業界の持続的な発展を妨げる障害を明らかにし、解決すべき課題を特定することです。

この記事の要約

  • デジハリが生成AIの影響を調査した。
  • 初心者からベテランまで幅広い層を対象。
  • 業界の発展を妨げる問題を特定することを目指す。

IT関連及びデジタルコンテンツの人材育成スクール[デジタルハリウッド] (運営会社:デジタルハリウッド株式会社、本社/本校:東京都千代田区)が運営をする、動画教材とライブ授業専門の「デジハリ・オンラインスクール」は、過去1年間にご入学された受講生2,034名を対象に「クリエイターと生成AIに関する意識調査2024」を9月に実施し、その調査結果がまとまりましたので公開いたします。 本調査では、生成AIがクリエイターの創作活動に与える影響や、それに対する意識が浮き彫りとなりました。生成AIの利便性を評価する一方で、法整備の遅れや情報不足に対する不安を抱く声も多く、クリエイターたちが直面する課題が明確になっています。 調査のダイジェストについては下記をご覧ください。

■調査の背景

 

生成AI技術が急速に進化する中、デジタルクリエイティブ分野において、クリエイターの意識や心情が必ずしもその変化に追随しているとは限りません。デジハリ・オンラインスクールでは、クリエイティブ初心者からベテランまで幅広い層を対象に、2024年のクリエイターたちが生成AIに対して抱く印象や、それがクリエイティブな視点や価値観に与える影響、さらには生成AIに関する情報収集の手段について調査を実施しました。この調査を通じて、クリエイティブ業界の持続的な発展に向けて何が障害となっているのか、解決すべき課題を明らかにすることを目指しています。

 

【調査の詳細】

「クリエイターと生成AIに関する意識調査2024」

 

調査期間:2024年9月14日(土)~2024年9月19日(木)まで

調査機関:デジハリ・オンラインスクールの独自調査

調査対象:2023年9月1日から2024年8月31日までにデジハリ・オンラインスクールのクリエイティブツール(Adobe Creative Cloud)を利用する講座へお申込みいただいた方

有効回答数:2,034件

調査方法:Webアンケート

本調査では上記の内容に加えて、生成AIサービスへの課金率や、クリエイティブ観の変化など様々な角度からデータを深掘りしております。ご興味がおありでしたら、ぜひ調査報告書(詳報)をご覧ください。

調査報告書:https://online.dhw.co.jp/pdf/DHW_AI_report2024.pdf

 

※本調査内容を引用される場合は下記をご記載ください

「クリエイターと生成AIに関する意識調査2024」(デジハリ・オンラインスクール調べ)

  • 「クリエイターと生成AIに関する意識調査2024」主な結果

 

■半数のクリエイターが、週に1回以上生成AIを利用している

 

「生成AIを利用したことはありますか?」という問いに対して、47.3%のクリエイターが「週に1回以上利用している」と答えました。世代別では、「毎日利用している」と回答した割合が最も高かったのは50~54歳(13.19%)、次いで35~39歳(12.46%)であり、これらの世代は仕事の生産性向上や効率化のために生成AIを積極的に導入していることがうかがえます。一方で20代においては、「利用したことがない」割合が高く、教育機関での生成AI利用が限定的であったり、SNSでの批判的な意見を目にする機会が多かったりするため、より慎重になっている傾向があると考えられます。

 

世代別に生成AIの利用用途を集計したところ、いくつかの特徴的な傾向が見られました。特に「コード生成」の割合は全体としては少ないものの、20代から30代の世代においては10%を上回っており、プログラミングスキルがキャリア形成において重要視されている世代では、生成AIが良き学習相手・相談相手として活用されていることがうかがえます。

一方で、20代における「画像生成」や「動画生成」の利用が低い点も着目すべきところです。30代以降の世代がビジネスの効率性を重視し、時間を節約しながらプロフェッショナルな結果を得るために生成AIツールを活用しているのに対し、20代では既存のSNSプラットフォームやアプリが充実しており、これらを利用して手軽に制作が可能なこと、著作権に関する懸念やリスクを総合的に判断した結果、他世代に比べて生成AIの利用を控える傾向がある可能性もあります。

■圧倒的人気のChatGPTとAdobe Firefly

 

最も利用している生成AIサービスを問う設問では、「ChatGPT」が全体の71.7%、「Adobe Firefly」が38.8%と、特にこの2つのツールが多く利用されていることが分かります。中でも「ChatGPT」は割合が高く、文章生成や対話型AIのニーズが強いことが示されています。また「Adobe Firefly」の利用率が高い理由については、回答者がデジタルハリウッドの受講生であることから、常に最新のテクノロジーを取り入れ、実務や学習に活用している様子がうかがえます。

 

■グラフィック制作に携わるクリエイターはやや消極的

 

「イラストや音楽をはじめとした【クリエイティブな活動における生成AIの利用】について、あなたはどのように考えていますか?」という設問では、全体の約58%が「活用したい」と回答しました。

年齢別では、年齢が上がるにつれて生成AIの利用に対する積極的な姿勢が強まっており、特に40歳前後の層が生成AI活用に対して最も積極的であることがわかります。また、年齢が上がってもAI活用に対する関心が低下せず、50歳以上でも前向きな姿勢が多く見られます。

その一方、クリエイティブ分野別で見たときに、動画編集に携わっているクリエイターの43.2%、Web制作に携わっているクリエイターの39.6%が「生成AIを積極的に活用したい」と答えているのに対して、グラフィック制作に携わっているユーザーは33.4%にとどまっており、より慎重になっている様子がうかがえます。

■学習モデルへの利用47%が受容もガイドラインの整備が必要

自分の創作物が生成AIの学習データとして使われることに対しては、47%の人がポジティブな反応を示し、13%はニュートラル(中立)、40%はネガティブな反応を示しました。ポジティブな意見の中でも「データの許可・不許可が選べること」や「報酬が発生する仕組みがあること」が条件として挙げられることも多く、「(受け入れはしつつも)時代の流れなので仕方がない」といった声も見られました。また、テキストデータならOK、写真ならOKといった、創作物のカテゴリによっても異なる反応がありました。

ポジティブ・ネガティブを問わず、共通して生成物の著作権やクリエイターの権利に関する不明確さが問題視されており、法整備やガイドラインの確立が、安心して生成AIを利用できる環境の構築に必要であることがわかりました。

また、Adobe製品の利用歴別では、1年未満の初心者から10年目を迎えるまでは、段階的にネガティブな傾向が強まる傾向が見られました。利用開始から6年以降、10年目のクリエイターは、ちょうど創作活動が軌道に乗ってくる時期であり、生成AIによる学習に対して危機感を抱くことが多いと考えられます。一方、11年以上Adobe製品を使っているクリエイターはポジティブな割合に転じており、業界全体の発展に貢献したいという思いが強い傾向にあることが示唆されました。とはいえ、ネガティブ・ポジティブどちらも50%未満の割合であることには注意が必要です。

 

■情報源は主にSNS、「いやでも耳に入ってくる」状況

「生成AIに関する情報を積極的に集めていますか?」という質問に対しては、「集めている」と答えた割合が30%、「どちらともいえない」が38%、「興味がない」が22%と、多くのクリエイターが生成AIを利用しているにもかかわらず、積極的に情報収集をしていないことが明らかになりました。また、「生成AIに関する情報を知るために、参考にしているメディアやウェブサイトはありますか?」という問いに対しては、「特定のメディアはない」が42%、SNS(22%)、YouTube(13%)、ニュースメディア(6%)の順となりました。

生成AIに関する主な情報源としてSNSが活用されている状況下では、自分と同じ考えや意見ばかりが強調される環境で情報を収集してしまうエコーチェンバー効果を懸念する必要があります。人によって認識している問題点や情報が大きく違うことが、生成AIに対する不安や対立をより深めているという見方もできそうです。

■クリエイターが「生成AIに任せたくない」分野は?

 

あえて「ここは生成AIに任せたくない」と考えていることはありますか?という質問に対しては、

「アイデアやコンセプト、独自性を確保するといった制作の基となる部分」という回答がある一方で、「作品の最終仕上げやクリエイティブな判断とする部分」という回答もあり、特定の領域というよりは、「自分がこだわりたい部分はAIに任せたくない」という傾向が浮き彫りになりました。

技術が進歩し、どのような部分も(技術的に)任せられる状況になったとき、真にクリエイティブな時代が訪れるのかもしれません。

■今回の調査を通じて

 

本調査により、生成AIの利用傾向が職種や世代ごとに異なることが明らかになりました。ビジネスにおいては効率を求めて活用が進む一方、情報源が主に個人発信のメディアに偏っていることから、問題の広がり方が所属するコミュニティにより異なり、その配慮の結果として画像生成に対してはより慎重になっている様子がみられました。また、どの世代にも共通して、著作権や無断使用に対する不安が大きく、特に視覚コンテンツのクリエイターからは強い懸念が寄せられています。こうした課題を解決し、生成AIのさらなる普及を進めるためには、職種や世代に応じたガイドラインの整備が急務であると言えるでしょう。

このような背景を踏まえ、デジタルハリウッドはクリエイティブ分野における生成AIの役割を正しく理解し、生成AIと共に成長できる次世代のクリエイターを育成する環境づくりをすすめていきます。

■デジタルクリエイティブの入門に人気の「Adobeマスター講座」もさらにパワーアップ!

 

2024年10月4日(金)から、新たに「はじめてのAdobe生成AI講座」がカリキュラムに追加されます。
この講座では、生成AIの基本から、Adobe IllustratorおよびPhotoshopでの生成AI機能の活用方法、さらにAdobe Fireflyを使った制作や、著作権・商用利用のルールまでを、約2時間でコンパクトに学べる内容となっています。
デジタルクリエイティブ初心者はもちろん、現役クリエイターの方も、信頼できるデジタルハリウッドのカリキュラムで生成AIの世界に挑戦してみませんか?

 

《Adobeマスター講座》
講座名:Adobeマスター講座

https://online.dhw.co.jp/course/adobe/
講座内容:オンライン動画教材+1年分のAdobe Creative Cloudライセンス
教材内容:約46時間のオリジナル動画教材
受講期間:3か月間(動画視聴1か月、課題添削期間2か月)
受講料:39,980円/税込

【デジハリ・オンラインスクールとは】

https://online.dhw.co.jp/

デジハリ・オンラインスクールは、日本初の産学協同デジタル専門スクール「デジタルハリウッド」が運営する通学不要の本格派オンラインスクールです。

1994年の創設以来培ってきたクリエイター育成に特化した教育ノウハウと、デジタルハリウッド大学・大学院などを通じたデジタルコンテンツ業界とのつながりを活かし、Webデザイン・3DCG・映像編集の分野において最新かつ実践的なカリキュラムを提供しています。

記事選定/ライター
NFT-TIMES 長尾英太

ブロックチェーン技術記者、長尾といいます。ブロックチェーンについては投資/投機的な観点よりも、技術として未来の社会でどのように取り込まれていくかを中心に発信したいです。最近ではNFTやメタバースなどに注目しています。 1989年11月7日千葉出身。大学卒業後IT企業に入社。2017年にブロックチェーンの技術ライターとして独立。 Twitter
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