Indeed Japanが明らかに:AI利用経験をもつ医師・看護師はまだ少ないが、業務効率向上と労働時間削減に期待
AI導入による医師・看護師の業務改善、時間削減の期待高まる
Indeed Japanが行った調査によれば、医師や看護師の中でAIを業務に活用した経験がある人はまだ少ないものの、AIの導入に対する期待感が高まっています。特に、定型的な事務作業の効率化や情報分析・課題解決業務の質向上に大きな期待が寄せられているとのこと。これにより、医師と看護師はそれぞれ平均で21.9%、23.1%の労働時間削減を見込んでいます。しかしながら、AIの導入には技術的な課題や信頼性の問題が存在し、現状ではAIに任せられる業務範囲は限られています。それにもかかわらず、医療従事者からは具体的な期待を示す意見も多く寄せられていて、AI導入の方向性や具体的な業務範囲の拡大について検討が進められています。
この記事の要約
- AIを業務に活用した経験はまだ少ないものの、医師・看護師の中には導入で業務効率化・時間削減への期待感が高まっている。
- 特に、定型的な事務作業や情報分析・課題解決業務に対する期待が大きい。
- しかし、AIの導入には技術的な課題や信頼性の問題が存在するため、難易度が高い。
世界No.1求人サイト* 「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、https://jp.indeed.com以下Indeed)は、20歳~59歳(※1)の正社員で医療職(医師・看護師)に従事する男女計1,000名(医師:424名、看護師:576名)を対象に、「AIの業務利用に関する実態・意識調査」を実施しました。
※1:医師は24歳~59歳、看護師は20歳~59歳を対象に聴取
■調査結果 主要ポイント
<AIの業務利用実態>
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【AIの業務利用率】医師の約4人に1人(23.7%)、看護師の7.5%がAIの業務利用経験がある。
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【AI業務利用で実感した変化】AIの業務利用経験のある医師・看護師ともに、半数以上がAIの業務利用により「大量の医学的なデータや文献を活用できた(医師1位:54.1%、看護師2位:55.1%)」「業務を効率化できた(医師2位:50.8%、看護師1位:59.8%)」と実感。
<AIの業務利用意向>
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【AIの業務利用意向】医師の約7割(68.9%)、看護師の5割以上(54.2%)がAIを業務に利用したいと回答し、期待感の高さがうかがえる。特にAIの業務利用経験のある人の方が利用意向が高く(利用経験あり医師:87.9%、看護師:78.7%)、医療現場でのさらなるAIの広がりには医療従事者が「AIの業務利用を経験すること」が有用と考えられる。
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【AI利用によって削減したい労働時間】医師では平均21.9%(1週間あたり平均11.6時間)、看護師では平均23.1%(1週間あたり平均10.3時間)の労働時間をAI利用により削減したいと考えており、AIによる業務効率化の意向がうかがえる。
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【今後AIを利用したいと思う業務】医師の約6割(59.1%)が「診療記録の作成」などの「定型の事務作業」にAIを活用したいと回答しており、業務効率化への意向が強い。一方で、44.2%が「患者の病状の評価と診断」や「検査結果の解析と診断の立案」などの「情報分析・課題解決業務」への利用意向があり、AIを医療の「質」の向上につなげたい意向も見て取れる。看護師も医師と同様の傾向で、AIを利用したい業務として最も多かったのが「定型の事務作業」(「患者の受付業務」や「記録作業」など)で39.1%、次いで「情報分析・課題解決業務」(「患者の病状のアセスメント」や「ヒューマンエラーの防止」など)で36.8%となっており、業務効率化と医療の「質」向上の意向がともにあることが示唆された。
■調査実施の背景
AI技術の革新により、職場や業務のあり方が急速に変化してきています。特に ChatGPT などの生成AIの登場以降、AI技術を導入する企業や業務でAIを利用する労働者が増加しています。
特に、日本においては様々な業界で人材不足が叫ばれる中、企業にとっては不足する労働力をAIなどのテクノロジーで補完していくことも重要になってくるでしょう。一方、労働者においてはAI活用による業務効率化や働き方の改善、業務の質の向上に期待する人もいると考えられます。
そこでIndeedでは、AIが日本の様々な業界や仕事でどのように利用されているのか、労働者はAIの業務活用をどのように捉えているのか等を明らかにするため、「AIの業務利用(※2)に関する実態・意識調査」を実施しました。
第1弾の「販売職(小売・アパレル)編」(2024年8月発表)に続き、第2弾となる今回は、産業別の就業者数(※3)が国内で3番目に多い「医療・福祉」に着目しました。その中でも、2024年4月より医師の時間外・休日労働上限規制が開始されるなど、国を挙げての働き方改革が推進されている医療現場において、主要な業務を担う「医師」と「看護師」を対象に調査をおこないました。
※2:本調査における「AI」は、「生成AI」と「生成AI以外のAI」の両方を含み、それぞれ以下の定義で聴取しています(「AIの利用率」等は、回答者本人がAIであると認識して利用している割合を示しています)。
・生成AI:文字などの入力(プロンプト)に対してテキスト、画像、動画、音声などを生成するAIを指します。
・生成AI以外のAI: 機械学習など大量のデータを用いて結果の予測を行ったり、事前に決められた行動を自動化したりするAIを指します。
※3:総務省統計局「労働力調査(基本集計)」2024年7月分より
■調査結果に対するIndeed Hiring Lab エコノミスト 青木 雄介のコメント
医師と看護師の間でのAIの業務利用経験率は未だ高くないものの、AI導入に対する利用意向が高いことが確認され、今後のAI導入に対する期待の大きさがうかがえます。特に、AI利用に対する期待は、「定型の事務作業」(例:診療記録の作成やデータ整理)の業務効率化と、「情報分析・課題解決業務」(例:「患者の病状の評価と診断」「検査結果の解析と診断の立案」「ヒューマンエラーの防止」)の質の向上の2点に集中しています。このような業務の効率化により、労働時間の削減を期待し、医師は現状よりも平均21.9%、看護師は現状よりも平均23.1%の労働時間削減を希望しています。
しかし、AIの技術的観点や信頼性についての医療従事者の認識から、現状のAIに任せられる業務範囲が限られ、医療業務の質向上を目的とした利用はまだ浸透しにくい課題もあるでしょう。それでも「こんなことにAIを利用できたらいいな」という自由回答には、医療業務の質向上への寄与に期待する具体的意見も多く寄せられており、AI未利用の医療従事者からも同様の期待が示されています。これらの意見は、AIがどのように貢献できるかを示唆しており、今後のAI導入の方向性やAIに任せられる業務範囲の拡大を検討する上で重要です。
■調査結果 詳細
<AIの業務利用実態>
1.「AIの業務利用率および業務利用経験率」
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医師の約4人に1人(23.7%)、看護師の7.5%がAIの業務利用経験がある。
医師(424名)のうち、現在AIを業務に利用している人は17.0%でした。過去利用も含めると23.7%で、約4人に1人が、AIの業務利用経験があることがわかりました。一方、看護師(576名)のうち現在AIを業務に利用している人は5.7%、過去利用も含めると7.5%でした。
2.「AIの業務利用で実感した変化」
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AIの業務利用経験のある医師・看護師ともに半数以上が「大量の医学的なデータや文献を活用できた(医師1位:54.1%、看護師2位:55.1%)」や「業務を効率化できた(医師2位:50.8%、看護師1位:59.8%)」と実感。
AIの業務利用経験のある医師(100名)と看護師(43名)に、AIの業務利用による変化として何を実感しているかを尋ねました。医師・看護師で上位は共通しており、ともに半数以上が「大量の医学的なデータや文献を活用できた(医師1位:54.1%、看護師2位:55.1%)」や「業務を効率化できた(医師2位:50.8%、看護師1位:59.8%)」と回答しました。AIが得意とされるデータ活用や、人材不足や長時間労働の緩和につながる業務効率化への実感が高いことがうかがえます。
<AIの業務利用意向>
3.「AIの業務利用意向」
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医師の約7割(68.9%)、看護師の5割以上(54.2%)がAIを業務に利用したいと回答し、期待感の高さがうかがえる。特にAI利用経験のある人の方が利用意向が高く、医療従事者が「AIの業務利用を経験すること」が、医療現場でのさらなるAIの広がりにつながる可能性。
自身の業務においてAIを利用したいか尋ねたところ、「利用したい」が医師では約7割の68.9%(利用したいと思う13.6%、どちらかと言えば利用したいと思う55.2%の合計)、看護師では5割以上の54.2%(利用したいと思う9.6%、どちらかと言えば利用したいと思う44.6%の合計)となり、AIの業務利用に対する期待感の高さがうかがえる結果となりました。またAI利用経験のある人の方が利用意向が高く(医師:87.9%、看護師:78.7%)、医療現場でのさらなるAIの広がりにあたっては、医療従事者が「AIの業務利用を経験すること」が有用だと考えられます。
4.「AI利用によって削減したい労働時間」
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医師では平均で21.9%(11.6時間/週)、看護師では平均で23.1%(10.3時間/週)の労働時間を、AI利用によって削減したい。
自身の業務においてAIを利用したいと思う医師(292名)と看護師(312名)に、AI利用によって週あたりの労働時間をどのくらい削減したいか尋ねたところ、医師では平均21.9%(1週間あたり平均11.6時間(※4))、看護師では平均23.1%(1週間あたり平均10.3時間(※4))となり、AIの業務利用による業務効率化の意向がうかがえる結果となりました。
※4:別途聴取していた「1週間あたりの大よその労働時間(残業時間含む/日勤・夜勤なども合わせた平均的な1週間の労働時間を数値にて回答)」を用いて算出。なお、1週間の労働時間の平均は、医師48.9時間、看護師41.9時間であった。
5.「今後AIを利用したいと思う業務」
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医師の約6割(59.1%)が「定型の事務作業」に、44.2%が「情報分析・課題解決業務」にAIを活用したいと回答し、業務効率化とともに、医療の「質」の向上につなげたい意向あり。
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看護師の39.1%が「定型の事務作業」、36.8%が「情報分析・課題解決業務」にAIの活用意向があり、医師と同傾向。
自身の業務においてAIを利用したいと思う医師(292名)と看護師(312名)に、今後AIを利用したいと思う業務を尋ねたところ、医師の約6割(59.1%)が「診療記録の作成」などの「定型の事務作業」にAIを活用したいと回答し、ここでも業務効率化への意向がうかがえます。一方で、「患者の病状の評価と診断」や「検査結果の解析と診断の立案」などの「情報分析・課題解決業務」についても44.2%の医師が利用意向を持っており、AIを医療の「質」の向上につなげたい意向も見て取れます。
看護師のAIを利用したい業務として最も多かったのが「定型の事務作業」(「患者の受付業務」や「記録作業」など)で39.1%、次いで「情報分析・課題解決業務」(「患者の病状のアセスメント」や「ヒューマンエラーの防止」など)で36.8%となっており、医師と同様の傾向が示されました。
※回答の参考情報として、下記の業務一覧を提示
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「今後AIが利用できたらいいと思うこと」(自由回答)には、医師では「画像診断による見落としや確認のダブルチェック」など、看護師では「症状や検査データ、バイタルサインを入力すると、疑わしい病名と処置方法が提示される」など、医療技術の向上に資するAI活用を希望する声が集まる。
さらに、医師や看護師の業務において「こんなことにAIを利用できたらいいな」と思うものを自由記述で尋ねると、医師では「画像診断による見落としや確認のダブルチェック」「過去のカルテや他の医療機関の情報から、経過を分析」などが挙がりました。看護師では「症状や検査データ、バイタルサインを入力すると、疑わしい病名と処置方法が提示される」などの声が見られました。医師、看護師ともに、業務効率化に留まらず診断精度や医療技術の向上に寄与するようなAI活用を希望する声も集まりました。
■「AIの業務利用に関する実態・意識調査【医療職(医師・看護師)編】」概要
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調査主体:Indeed Japan株式会社
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調査対象:
【1】「医師」として勤務している24歳~59歳の正社員の男女 計424名 ※歯科医、獣医および研究・開発のみを行っている医師を除く
【2】「看護師」として勤務している20歳~59歳の正社員の男女 計576名 ※医療機関以外(保育園・保健所など)の勤務者を除く
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割付方法:「医師(24-39歳)」「医師(40-59歳)」「看護師(20-39歳)」「看護師(40-59歳)」の4セル ※一部不足したセルは他セルから補填して回収
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補正:下記の参照データに基づき、割付4セルの年代構成比で補正
【医師】「令和6年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」※雇用形態で正規以外も含まれる
【看護師】「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)」※雇用形態で正規以外も含まれる
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調査方法:インターネット調査
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調査期間:2024年8月7日~8月14日
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補足:本調査の一部設問の設計・作成(医療職の具体業務の一覧化)にあたっては、OpenAI API(ChatGPT)を利用。
構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合や、小数第1位までの計算とは数値が異なる場合があります。
※本プレスリリースは、以下からもご確認いただけます。
Indeed Japan Press Room:https://jp.indeed.com/press/releases/20240927
Indeed (インディード) について
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*出典:Comscore 2024年3月総訪問数
**出典:Indeed社内データ 2023年10月~2024年3月