GAIN Summit 2024、2日目も続くAIの課題と可能性:マイクロソフト副社長からの倫理的・責任あるAI利用の重要性に関する訴え

GAIN Summit 2024、2日目も続くAIの課題と可能性:マイクロソフト副社長からの倫理的・責任あるAI利用の重要性に関する訴え

GAIN Summit 2024:AIの課題と倫理的利用についての議論

2024年のGAIN Summitの2日目では、AIのガバナンス、政策立案、人類への影響についての議論が行われました。マイクロソフト副社長のアントニー・クック氏の基調講演では、AIの倫理的かつ責任ある利用を促進する枠組みの必要性が語られました。また、IBM基礎研究所の副社長やファーウェイ・クラウドのプレジデントなどが参加するパネルディスカッションでは、AIガバナンスの重要性や、通信ネットワークとAIサービスへのアクセスを容易にするインフラの構築の急務性を強調しました。パネルディスカッションでは、AI倫理に対する社会的理解の深化の重要性や、透明性、倫理的利用、持続可能性を促進する方針の必要性も提唱されました。

この記事の要約

  • マイクロソフト副社長のアントニー・クック氏は、AIの倫理的かつ責任ある利用を促進する枠組みの必要性を強調しました。
  • IBM基礎研究所の副社長やファーウェイ・クラウドのプレジデントは、通信ネットワークとAIサービスへのアクセスを容易にするインフラの構築の急務性を強調しました。
  • 全体を通じて、AI倫理に対する社会的理解の深化の重要性や、透明性、倫理的利用、持続可能性を促進する方針の必要性が提唱されました。

サウジアラビア・リヤド、2024年9月11日-9月10日に開幕したGlobal AI Summit(GAIN)の2日目は、初日に続き、AI主導のイノベーション、ガバナンス、政策立案、そしてテクノロジーが人類に与える影響に関するテーマが取り上げられました。

 

この日最初の基調講演では、マイクロソフトのコーポレート・バイス・プレジデント兼デピュティ・ゼネラル・カウンセル アントニー・クック氏が、「AI Governance: Principles to Promote Responsible AI and Access(AIガバナンス:責任あるAIとアクセスを促進するための原則)」をテーマに登壇し、変革的テクノロジーであるAIの倫理的かつ責任ある利用を促進する包括的枠組みの整備という差し迫った必要性を中心とした当日の議論の方向性を示しました。

 

続いて行われた「The Governance Roundtable: Stakeholder Representation and Decision-Making Dynamics(ガバナンス・ラウンドテーブル:ステークホルダーを代表する意見と意思決定の力学)」と題したハイレベルなパネルディスカッションには、IBM基礎研究所のバイス・プレジデント プリヤ・ナグプルカル氏、ファーウェイ・クラウド・ミドルイースト&セントラルアジアのプレジデント アラン・チー氏など、業界のリーダーらが参加しました。

 

パネルディスカッションでは、サミットのテーマである「Artificial Intelligence for the Good of Humanity(人類の利益となるAI)」に沿って、グローバルなAIガバナンスコードを確立することの重要性が議論されました。参加者は、これらのテクノロジーに関連するリスクとメリットのバランスをとるうえでAIガバナンスが極めて重要であることを指摘し、世界的な通信ネットワークとAIサービスへのアクセスを容易にするための強固なインフラの構築が急務であることを強調しました。さらに、AI倫理に対する社会的理解を深めることの重要性も強くアピールし、事業運営における透明性、倫理的利用、持続可能性を促進する明確な方針の策定を提唱しました。

イベント2日目には他にも、雇用、スポーツ、ヘルスケアにおけるAIの変革の可能性といったテーマにも焦点が当てられました。

 

サウジ・データAI庁(SDAIA)主催のGAIN Summitは、国内外のステークホルダー間の連携を促進する世界的なイベントとしての地位を確立しています。

 

2日目に行われた発表(一部抜粋):

 

ファーウェイ:SDAIAとの間に、サウジアラビアの技術革新の未来をリードできる人材育成を目指し、ICTとAIの分野で教育プログラムを設立する覚書(MoU)に署名しました。両組織はまた、AI関連の出版物、ソーシャルメディア、イベントを通じてAI技術を社会に紹介するプロモーションキャンペーンを共同で立ち上げる予定です。

 

ICESCO:The Islamic World Educational, Scientific and Cultural Organization(ICESCO、イスラム世界教育科学文化機関)とSDAIAは、倫理的AIの推進を目的とした「Riyadh Charter for Artificial Intelligence for the Islamic World(イスラム世界のための人工知能に関するリヤド憲章)」を発表しました。リヤド憲章の設立を通じて、持続可能な開発を促進し、国際協力を推進しながら、イスラム世界の価値観と原則に沿ったAI技術を開発するための包括的な枠組みを確立します。

 

ディープフェイク:SDAIAは、AIツール、特にディープフェイクの使用について、責任を持って倫理的に最適化する方法を示す公式ガイドライン文書を発表しました。この取り組みは、ディープフェイク技術のプラスの可能性を引き出すためのノウハウを提供すると同時に、関連リスクを明確に特定することを目的としたもので、ガイドラインは現在一般公開されています。

 

Thakai:SDAIAはさらに、世界中のAI分野の専門家や推進者をつなぐことを目的とした、AIのデータとコンテンツを共有する世界初の統合ナレッジハブ「Thakai」プラットフォームを立ち上げました。この新しいプラットフォームは、カリフォルニア大学バークレー校、キングサウード大学、英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)、IDC、PwCといった一流の学術機関、シンクタンク、グローバル企業とのパートナーシップによって開発されました。

 

ピアソン:SDAIAとの間に、サウジアラビアにおける AI ケイパビリティの向上とデジタル人材の育成に向けた覚書(MoU)を締結しました。このパートナーシップは、AIとデジタルの分野に特化した職業資格を開発することを目的とし、急速に拡大するハイテク業界において、個人の雇用適性とキャリアアップの機会を高めるためのデジタル関連の資格創設に関する概要も示されています。

 

SDAIAは、今回で3回目となるGAIN Summitの開催を通じて、イノベーションを推進し、VISION 2030で示された国の経済多様化目標に貢献するというコミットメントを実証しました。

記事選定/ライター
NFT-TIMES 長尾英太

ブロックチェーン技術記者、長尾といいます。ブロックチェーンについては投資/投機的な観点よりも、技術として未来の社会でどのように取り込まれていくかを中心に発信したいです。最近ではNFTやメタバースなどに注目しています。 1989年11月7日千葉出身。大学卒業後IT企業に入社。2017年にブロックチェーンの技術ライターとして独立。 Twitter
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