三谷産業、車載向け樹脂成形品の品質向上と効率化を目指すAI自動外観検査機の開発
三谷産業、AI搭載自動外観検査機で車載向け樹脂成形品の品質向上と効率化
三谷産業は、車載向け樹脂成形品の製造における効率化と品質向上を目指し、AIを活用した自動外観検査機の開発をおこなった。開発された検査機は、ベトナムの製造拠点で労働時間の削減と高精度な品質管理を実現し、従来の目視検査に代わるものとなる。この移転は、人件費の上昇に対する課題を解決し、製造プロセスの効率化を推進する。また、自動車産業の技術進歩と安全性、品質への期待の高まりに対応するため、AIやロボティクスなどの最新技術も活用する。
この記事の要約
- 三谷産業は、車載向け樹脂成形品の製造における効率化と品質向上のため、AIを活用した自動外観検査機を開発。
- 開発された検査機は、ベトナムの製造拠点で労働時間の削減と品質管理の向上を実現し、従来の目視検査を置き換える。
- この開発は、人件費の上昇に対応し、自動車業界の技術進歩と品質への期待増に対応するため、AIやロボティクスなどの最新技術を活用する方向性を示す。
三谷産業株式会社(本社:石川県金沢市/代表取締役社長:三谷 忠照、以下 三谷産業)は、樹脂・エレクトロニクス事業において、車載向け樹脂成形品の製造における効率化と品質向上を目指し、AIを活用した自動外観検査機を開発しました。この検査機は、ベトナムの製造拠点における従来の目視検査による工数の削減と高精度な品質管理を同時に実現することを目的として開発したものです。実用化に向けて、本年5月にベトナムの製造工場へ移設して検証を行い、8月から量産ラインにおいて評価を開始しました。
■自動外観検査機の開発の背景
三谷産業の樹脂・エレクトロニクス事業は、日本とベトナムを拠点に、自動車に組み込まれる樹脂成形品の製造・販売を行っています。高品質な製品を安定して提供するために徹底した品質管理を実施しており、広島にあるM&E事業部の技術部および品質保証部をマザー機能として、ベトナムの量産工場である子会社2社と連携し、“良品しかつくれない製造工程”を目指して生産体制を構築しています。
近年、自動車産業は電気自動車への転換や自動運転技術の進展など、急速な技術革新を遂げています。それに伴い、自動車の安全性や品質に対する期待もさらに高まっています。当社グループでは、高いレベルでの品質保証を推進するとともに、AIやロボティクスなどの最新技術を活用した生産プロセスの構築と技術開発に取り組んでいます。また、製造拠点のあるベトナムでは近年、人件費の上昇への対応が課題となっており、AIや自動化による効率化が急務となっています。特に、製品の欠陥を人の目で確認して良否判定を行う「目視検査」はコストや手間がかかるため、製造コスト増の要因となっています。
このような背景から、AI技術を活用した自動外観検査機の開発に着手しました。
■自動外観検査機の特長
・良品学習が可能な外観検査AIを組み込み、良品データ学習による不良品検出を実現
・高精度カメラやタッチパネルユニットを組み合わせた独自の設計
・検査の省力化を可能にし、生産性の向上とコスト削減を図る
当社が開発した検査機は、画像解析AIを活用して製品の欠陥を検知し、良品・不良品を自動で判定する自動外観検査システムです。作業者が製品を検査機にセットしボタンを押すと検査がスタートします。AIが複数の角度から撮像した画像を学習結果と比較し、汚れや傷、バリ、欠けなどの欠陥を高精度で検知し、良品・不良品を判定します。検査結果はタッチパネルディスプレイで確認することができます。
この検査機は、良品学習が可能な外観検査AIを組み込み、製品を撮像する高解像度カメラや設定用のタッチパネルディスプレイ、スイッチユニット等を組み合わせて独自で設計・構築しました。サイズは高さ約3m、幅1.2m、奥行き1.45mです。また、キャスター付きのため、工場内のどこにでも移動・設置できる柔軟な運用が可能です。
検査機の設計、組み立て、AIの学習やシミュレーションは三谷産業の広島事業所にて実施し、本年5月にベトナムの製造工場へ移設して検証を行い、8月から量産ラインで評価を開始しました。
また、AIの組み込みに関しては当社の情報システム事業部のノウハウも活用しており、当社の複合力をもって開発を進めました。
(検査工程の評価・検証イメージ)
■期待される効果
この自動外観検査機を導入し、当該製品に量産適用すれば、現行の目視検査の工数を削減でき、検査工程の省人化による生産性の向上が期待できます。
現在、ベトナムの製造工場にて実施している現行の目視検査では、熟練の検査員が1部品あたり110秒かけて検査していますが、自動外観検査機を適用すれば検査員の工数は1部品あたり37秒になり、約66%※の工数削減を見込むことができます。
※当社で実施中の評価条件に基づいた期待効果です。
■今後の展開
現在、お取引先の自動車部品メーカーさまとともに量産適用の評価を行っており、正式稼働に向けて準備を進めています。
今後は2026年を目処にベトナムの全量産工場に適用を完了させる計画です。また、将来的には、検査機に蓄積された判定結果のデータを活用し、量産工場で得られる製造データと紐づけることで、欠陥の発生原因を特定し、製造プロセス全体の改善につなげる活動にも取り組んでまいります。
【三谷産業グループについて】https://www.mitani.co.jp/
石川県金沢市で創業して96年、ベトナムで創業して30年の複合商社です。北陸、首都圏、ベトナムを拠点に、化学品/情報システム/樹脂・エレクトロニクス/空調設備工事/住宅設備機器/エネルギーの6セグメントで事業を展開しています。商社でありながら、時にメーカーとして、また時にコンサルタントして、お客さまにとっての最適を追求するとともに、「創業90年を越えるベンチャー企業」として更なる進化へと挑戦しています。
2024年3月期:連結売上高 95,857百万円/連結従業員数 3,569名