日本ケミコン、業界初の液浸冷却対応アルミ電解コンデンサ開発成功

日本ケミコン、業界初の液浸冷却対応アルミ電解コンデンサ開発成功

日本ケミコンが業界初の液浸冷却対応コンデンサ開発

日本ケミコン株式会社は、液浸冷却(Liquid Immersion Cooling)に対応したアルミ電解コンデンサの開発に成功し、サンプル対応を開始しました。データセンターのエネルギー消費が増加する中、効率的な冷却手法の必要性が高まっており、特にAIサーバーやHPC用の高性能サーバーでは消費電力が急増しています。一般的なアルミ電解コンデンサは液浸冷却に弱く、短寿命化を引き起こすため、新たに開発した封口ゴムがその課題を克服する可能性があります。今後、データセンターや車載、産機市場においても幅広い活用が期待されます。

この記事の要約

  • 日本ケミコンが液浸冷却対応のアルミ電解コンデンサを開発。
  • データセンターのエネルギー問題に対して新技術が要求されている。
  • 新たな封口ゴムにより、液浸冷却への対応力が向上。
冷媒への浸漬試験のイメージ

日本ケミコン株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:上山 典男)は高効率なサーバー冷却手法である液浸冷却(Liquid Immersion Cooling)に対応した製品の開発に業界で初めて成功し、サンプル対応を開始いたしました。

昨今、生成AI技術の普及、製造業におけるDX推進、さらに自動車の自動運転インフラとしての活用などを背景に、次世代データセンターの拡大に期待が高まっています。
一方、既に市場投入されているAIサーバーでは、CPU/GPUの高性能化も相まって、従来のサーバーユニットとは桁違いの消費電力となっており、サーバーユニット個々の発熱が増大したことで、 データセンターでの冷却用空調電力需要が急拡大し、結果としてデータセンター全体の消費電力が増加しています。 データセンターのエネルギー消費量は増加傾向にあり、各国でのカーボンニュートラルの取り組みが進行する中、世界的な環境課題となっています。

生成AI分野で活用されるアルミ電解コンデンサ

データセンタで活用されるアルミ電解コンデンサについて紹介するコンテンツを公開しました。生成AI向けなど、データセンタは今後も大規模な増設が進み、くらしの中で重要な役割を果たします。
データセンタ内で数多くのアルミ電解コンデンサが使用されていることをご理解いただけますので、合わせてご覧ください。

https://www.chemi-con.co.jp/company/about/topics/ai.html

クラウドデータセンターのサーバーラックの消費電力は最大でも10kW程度であり、空冷方式が主流ですが、AIサーバー等HPC(High Performance Computing)用のサーバーラックでは20kW以上、 場合によっては100kWを超えます。そのため、冷却方式としてコールドプレートもしくは液浸による冷却が必須になりますが、コールドプレートではPUE(Power Usage Effective*1)の改善に限界があり、 最終的にはより理想的な液浸冷却への移行が必要とみられています。
一方、一般的なアルミ電解コンデンサを液浸した場合、封口ゴムの劣化を促進し、気密不良によって短寿命化することが確認されています。 アルミ電解コンデンサは、サーバー上では1次側平滑用から最後段のCPU/GPU駆動用まで多岐にわたって使用されており、液浸への対応が必要となります。

*1 PUE = (データセンター全体の消費電力量[kWh]) / (IT機器の消費電力量[kWh])
  一般的なデータセンターのPUEは2.0程度

当社は、封口ゴムを自社開発している強みを活かし、液浸冷却に対する気密耐性評価を実施、新規封口ゴムを開発しました(特許申請中)。また、大手冷媒メーカーにもご協力をいただき評価を継続しています。
既に、データセンター関連の一部のユーザー様で液浸冷却での評価をいただいていますが、車載市場、産機市場においても冷却は大きな課題と想定しており、ご要求に応じて試供させていただきます。


サンプル・量産時期

液浸評価用サンプル: 対応中

量産: 2025年度


液浸試験

液浸試験後の封口ゴム外観比較

液浸試験後の封口ゴム外観比較

従来品は冷媒の浸透により封口ゴムが膨潤するとともに一部溶けている箇所がありますが、液浸対応品は変化がありません。

注) 試験前の外観は従来品と液浸対応品で同一であり、液浸対応品のみ例示


液浸試験での重量変化

液浸試験での重量変化

冷媒の浸透度合いを評価する為の重量変化試験において、従来品は冷媒が内部に入り込むことで重量増加が認められますが、液浸対応品の重量変化はありません。


液浸試験での浸漬方法

液浸試験での浸漬方法

基板に電子部品が実装された状態で直接冷媒に浸漬されます。


製品仕様

各シリーズの詳細な仕様につきましては、各シリーズのPDFでご確認いただけます。

分類

カタログ

特徴

導電性高分子コンデンサ

チップ形

PXLシリーズ

・液浸専用

・グラフィックカード、マザーボード向け

・105℃ 5,000時間保証品

導電性高分子コンデンサ

リード形

PSLシリーズ

・液浸専用

・グラフィックカード、マザーボード向け

・105℃ 5,000時間保証品

ハイブリッドコンデンサ

チップ形

HXUシリーズ

・複合封止構造

・油浸、液浸冷却+40G耐振動対応

・AIサーバー、車載電装市場向け

・125℃/135℃ 6,000時間保証品

アルミ電解コンデンサ

チップ形

MHUシリーズ

・複合封止構造

・油浸、液浸冷却+40G耐振動対応

・AIサーバー、車載電装市場向け

・125℃ 5,000時間保証品

アルミ電解コンデンサ

基板自立形

KHUシリーズ

・封止部に耐油処理を追加
 (オプションとなります)

・定格電圧最大500Vまで対応

・~100L(mm)大容量対応

・105℃ 3,000時間保証品


日本ケミコン株式会社

日本ケミコン株式会社

アルミ電解コンデンサの世界シェアトップメーカーとして、車載・ICT・産業機器・家電などグローバルに展開するお客様に受動部品を提供しています。

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記事選定/ライター
NFT-TIMES 長尾英太

ブロックチェーン技術記者、長尾といいます。ブロックチェーンについては投資/投機的な観点よりも、技術として未来の社会でどのように取り込まれていくかを中心に発信したいです。最近ではNFTやメタバースなどに注目しています。 1989年11月7日千葉出身。大学卒業後IT企業に入社。2017年にブロックチェーンの技術ライターとして独立。 Twitter
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