AIガバナンス協会、一般社団法人化で持続可能社会を実現へ

AIガバナンス協会、一般社団法人化で持続可能社会を実現へ

AIガバナンス協会が一般社団法人に移行し新たな展望へ

AIガバナンス協会が2024年10月1日より、任意団体から一般社団法人AIガバナンス協会(AIGA)に移行することを発表しました。この移行により、持続可能な社会の構築を目指し、AI技術の利用におけるリスク管理と便益最大化のための「AIガバナンス」をさらに推進していきます。AIGAは、約70社の会員企業を持ち、産業横断の知見を蓄積し、政策提言も行いながら、民間におけるAIガバナンスの普及を進める役割を果たします。国内外の政策立案者と連携し、AIの枠組みを巡る議論に積極的に貢献することで、持続可能な社会の実現に向けた活動を強化します。

この記事の要約

  • AIガバナンス協会が2024年10月1日に一般社団法人化。
  • 持続可能な社会の実現へ向け、AIガバナンスの普及活動を加速。
  • 産業横断の知見蓄積と政策提言を推進し連携を強化。

AI及びAIを用いたサービスが幅広く活用され、AIをめぐるあらゆるステークホルダーが持続可能性を伴って各自の幸福の追求や成長を実現できる社会を形成することを目的として、産業横断での議論のハブとしての活動を行うAIガバナンス協会は、2024年10月1日より、任意団体「AIガバナンス協会」から「一般社団法人AIガバナンス協会(本部:東京都中央区、代表理事:大柴行人、生田目雅史、羽深宏樹、以下「AIGA」)」へ体制を移行したことを発表いたします。

一般社団法人化の背景

AIGAは、2023年10月の任意団体設立以降、AIのリスクを管理し、その便益を最大化するための取組である「AIガバナンス」の普及促進のため活動してきました。民間での自主的なAIガバナンス実装の取組を推進するべく、産業横断での知見蓄積や政策・制度への提言を主導し、約70社規模まで会員企業を拡大するとともに、関係省庁や公的機関などとの連携も深めてきました。

AI技術の利用が社会で急速に広がる中、AIGAは産業横断での知見蓄積のハブとなり、民間におけるAIガバナンスの普及促進において重要な役割を担いつつあります。また、国内外のポリシーメーカーや業界関係者と連携し、政策・制度を含むAIガバナンスの枠組みをめぐる議論にも積極的に貢献しています。

こうした活動実績の蓄積とプレゼンスの拡大を踏まえ、民間の自主的な取組団体としての役割の拡大や渉外・提言活動の拡充を図るため、2024年10月、従来の任意団体から一般社団法人へと移行することとなりました。

AIGAは団体の活動において、社会的価値の実現、マルチステークホルダー間の信頼構築、イノベーションの促進という3つの価値を重視しています。

これらの価値を基盤に、適切なリスク管理を通じてAIの価値を最大化する取組である「AIガバナンス」があたりまえのものとして定着した社会の実現をめざします。

民間の自主的な取組団体としての役割の拡大

AIGAはAIガバナンスの社会実装を推進するために、アクションプランを示す自主宣言である「AIガバナンス行動目標(https://www.ai-governance.jp/ai-governance-action-agenda)」を策定し、全会員によるこの行動目標へのコミットメントを前提に活動を推進しています。日本でもAI規制をめぐり、法制度の導入に関する検討も進んでいますが、日本のAIガバナンスの基調は、AI事業者ガイドラインに沿った民間企業の自主取組とされています。民間主体が自ら指針を示し、その実装を進めるAIGAの活動の重要性は一層増していくでしょう。

また今後は、行動目標で示された指針をさらに具体化し、各企業がAIガバナンス実装の進捗状況を自己診断できるようにするツール「AIガバナンスナビ」の策定を予定しています。こうした、社会におけるAIガバナンスの実効性を高めるためのステップを議論・検討し、内外に展開することを通じて、AIGAはAI技術の健全な発展と、そのリスクの適切な管理の両立を目指していきます。

渉外・提言活動の拡充

AIGAは国内外のポリシーメーカーや業界関係者との連携を強化し、企業のAIガバナンス実務の知見に立脚しつつ、今後もAIガバナンスの望ましい枠組みに関する意見・提言をより一層積極的に発信していきます。自民党や関係省庁と共同での議論への参加を継続することに加えて、今後は海外の業界団体や関係機関との協力関係も強化していきます。

また、一般社団法人化により体制を整備することで、委託事業の受託や、公的機関・研究機関とのパートナーシップを通じた議論へのより一層の貢献も可能になります。

AIGAは、AI技術が持つ可能性を最大限に引き出しつつ、そのリスクを適切に管理し、持続可能な社会の実現を目指し、AIガバナンスの普及促進、社会実装に資する具体的な提言と行動を推進していきます。

新体制のご紹介 

AIGAは一般社団法人への移行にあたり、協会の役員に当たる理事及び監事として、以下の9名(敬称略)にご就任いただくこととなりました。

代表理事

大柴行人 (Robust Intelligence 共同創業者・Cisco Director of AI Engineering)
生田目雅史 (東京海上ホールディングス 専務執行役員 グループCDO)
羽深宏樹 (スマートガバナンス 代表取締役CEO・京都大学特任教授・弁護士)

理事

佐久間 弘明(AIGA事務局長)

瀬名波 文野(リクルートホールディングス 取締役 兼 常務執行役員 兼 COO)

長谷 友春(有限責任監査法人トーマツ パートナー)

松田 浩路(KDDI株式会社 取締役執行役員常務 CDO 先端技術統括本部長)

山本 忠司(三菱UFJフィナンシャル・グループ 執行役常務 リテール・デジタル事業本部長 兼 グループCDTO)

監事

鶴野 智子(CSRデザイン環境投資顧問株式会社取締役・公認会計士 )

AIガバナンス協会のこれまでの活動実績

AIGAは2023年10月から活動を開始し、これまでに70社近くの会員企業が共同でのAIガバナンスの社会実装を目指して参画しています。4つのワーキンググループ(WG)を主な軸として各種活動を企画・実行しており、各WGからは政策担当者や企業にとって有益な実績や知見が蓄積されています。

AIガバナンス実装WG:「AIガバナンスの実装状況に関するワーキングペーパー」を公表

会員企業によるAIガバナンス実装のこれまでの達成と課題に関するケーススタディを扱う研究会を合計4回開催し、その成果を踏まえて「AIガバナンスの実装状況に関するワーキングペーパー」を取りまとめ、完成報告会を実施しました。

https://www.ai-governance.jp/blog/implement-wp-240807

行動目標WG:「AIガバナンス行動目標」を決定し、「AIガバナンスナビ」の作成に着手

会員企業の活動における共通の目標として位置付けた「AIガバナンス行動目標」を決定しました。この行動目標を実装に移し、AIガバナンス実装のロードマップを示す「AIガバナンスナビ」の作成も進めています。

https://www.ai-governance.jp/ai-governance-action-agenda

政策提言WG:AIガバナンスの社会実装のための提言

政策提言WGでは、パブリックコメントの提出だけでなく、時宜に応じた自発的な政策・制度への意見提出も行ってきました。2024年4月に実施した政策パッケージの提言内容は自民党の「AIホワイトペーパー2024」にも反映されました。具体的には、人材要件の標準づくり、リスク検証手法の検討、認証枠組み等のAIガバナンス構築へのインセンティブ設計の検討などのAIGAが提起した論点に対応する施策が、自民党からも政府に対して提言されました。
https://www.ai-governance.jp/blog/proposal-240410-package

また、2024年10月には、政府において進むAIの法制度の検討に貢献するため、AIGAに所属する様々なステークホルダーの声を取りまとめ、「AIをめぐる制度検討に関する意見」を取りまとめ、政府へ提出しています。

https://www.ai-governance.jp/blog/241003-policy-opinion-ai-regulation

認証・標準WG:「AIガバナンス認証制度に関するディスカッションペーパー ver 1.0」を公表

開発・提供・利用といったバリューチェーン上の各主体によるAIガバナンスの認証制度へのニーズや、今後の検討課題の洗い出しなどの成果を取りまとめ、「AIガバナンス認証制度に関するディスカッションペーパー ver 1.0」を公表しました。これは、あり得るAIガバナンス認証制度の枠組みについての試案を提示し、政府やAI Safety Institute(AISI)等を含む関係者の議論へと貢献することを目指しています。

https://www.ai-governance.jp/blog/certificate-dp01-240611

生田目代表理事のコメント

このたび、AIガバナンス協会(AIGA)は2024年10月をもって、任意団体から一般社団法人として新たな一歩を踏み出すこととなりました。

AIGAは2023年10月の設立以来、最先端のAIガバナンス実践に関する知見の交流や政策・制度検討への貢献を通じ、様々なステークホルダーの皆様から信頼を集めてきました。会員企業数も諸業界のリーダー企業を中心に70社近くまで拡大しており、健全かつ積極的なAI活用の土台となるAIガバナンスの構築に多くのプレーヤーが一丸となって挑んでいます。

今回の一般社団法人化を機に、AIGAは運営体制の充実とさらなる実践知の蓄積を進めるとともに、それらを活かして「AIガバナンスナビ」の運用などの新たなプロジェクトを始動します。また、そうした日々の取組成果も踏まえ、今後も変化していく政策・制度枠組みに関する検討・提言もより積極化したいと考えています。

今後もAIGAは、「AIガバナンスがあたりまえに定着した社会」を目指し、日本のAIガバナンスをめぐる議論のハブとして活動していきます。

「一般社団法人AIガバナンス協会」について

AIガバナンス協会(AIGA)は、AIのビジネス活用の急拡大とその裏でのリスク認識の広がり、国内外の政策動向の急速な変化等を背景として、企業と社会が安心してAIを活用し、持続可能な成長を遂げるために、多様なプレイヤーがAIガバナンスのあり方を議論できる場を創るべく2023年に設立されました。2024年10月より、活動をより拡大し、AIガバナンスの社会実装とポリシーメーカー等との連携を強化するため、一般社団法人に体制と活動を移行しました。
AIGAでは、グーグル合同会社、日本マイクロソフト、AWS Japanなどのグローバルテック、国内の金融・保険・通信・IT・HR・製造・インフラ等の業界大手、AIやデータに関する事業を手がけるスタートアップなど、多様な領域のリーディングカンパニーが産業横断で議論を行い、企業のあるべきAIガバナンスに関する共通理解の醸成や政策提言等の活動を実施します。

・任意団体設立日:2023年10月26日
(設立時のプレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000131696.html

・一般社団法人設立日:2024年10月1日

・サイトURL:https://www.ai-governance.jp/

・問い合わせフォーム :https://www.ai-governance.jp/#contact-us

記事選定/ライター
NFT-TIMES 長尾英太

ブロックチェーン技術記者、長尾といいます。ブロックチェーンについては投資/投機的な観点よりも、技術として未来の社会でどのように取り込まれていくかを中心に発信したいです。最近ではNFTやメタバースなどに注目しています。 1989年11月7日千葉出身。大学卒業後IT企業に入社。2017年にブロックチェーンの技術ライターとして独立。 Twitter
ページトップへ