暗号資産に関する税制改正要望(2023年度)

暗号資産に関する税制改正要望(2023年度)

暗号資産に関する税制改正要望(2023年度)

1: 暗号資産を発行・保有する法人への期末含み益課税の撤廃、2: 申告分離課税・損失の繰越控除の導入、3: 暗号資産同士の交換時における課税の撤廃を要望。

一般社団法人日本ブロックチェーン協会(所在地:東京都港区。代表理事:加納裕三。以下、JBAという。)は、11月15日(火)、暗号資産に関する税制改正要望を政府に提出いたしました。
  • 要望書の目的

本要望書では、法人が web3 事業を日本で営む最大の障壁であり、かつ、国民が積極的に暗号資産を保有・利用することの阻害要因になっている暗号資産の税制の見直しを求めています。日本が web3先進国として国内外で認知されるとともに、新しい産業である web3の経済圏が拡大し、変革を迫られている日本経済の今後の成長に大きく貢献することに期待するものです。

  • 日本の現状

次世代インターネットとも目され、日本のみならず世界の経済成長を牽引していく可能性を期待されているweb3ですが、暗号資産分析会社であるCoincubが発表したレポート※1によると、日本の暗号資産ランキングは、調査対象56か国中27位と位置付けられています。特に税制に関する評価が低い結果となっており、別のレポート※2では61か国中58位と最下位に近い評価となっています。
※1 https://coincub.com/ranking/q3-2022-global-crypto-ranking/
※2 https://coincub.com/ranking/coincub-annual-crypto-tax-ranking-2022/

 

  • 要望骨子

このような事業環境を改善するため、JBAは次のとおり税制の改正を要望いたしました。

要望1:暗号資産を発行・保有する法人への期末含み益課税の撤廃
暗号資産を発行または取得した法人が保有する短期売買目的以外の暗号資産に対する課税を、期末の時価評価による課税から、帳簿価額による評価として撤廃すること。特に、複数の企業が国外へ流出する要因となっている自社発行トークンに対する期末含み益課税を撤廃し、web3人材の国外流出を食い止め日本国内でweb3事業を営める環境を早急に整備すること。

要望2:申告分離課税・損失の繰越控除の導入
暗号資産取引にかかる利益に対する課税方法を、総合課税から申告分離課税に変更し、税率を一律20%とすること。また、損失を出した年の翌年以降3年間、その損失を繰り越して、翌年以降の暗号資産に係る所得金額から控除することができるようにすること。暗号資産デリバティブ取引についても同様の扱いとすること。

要望3:暗号資産同士の交換時における課税の撤廃
暗号資産同士を交換した場合には、その交換の都度、発生した利益について所得税が課税される。ボーダーレスであるweb3時代の決済においては、暗号資産同士の交換が経済圏の主流となる可能性が高く、発生するトランザクションや交換する暗号資産の種類が多岐に渡ること等から、納税計算が非常に煩雑になり、暗号資産が本来もつ利便性を著しく阻害している。ついては、暗号資産同士の交換に対する課税を撤廃すること。

要望書ダウンロード
https://jba-web.jp/cms/wp-content/uploads/2022/11/20221116_jbazeisei.pdf
 

JBAは引き続き、web3推進のための環境整備に取り組んでまいります。

以上


記事選定/ライター
NFT-TIMES 長尾英太

ブロックチェーン技術記者、長尾といいます。ブロックチェーンについては投資/投機的な観点よりも、技術として未来の社会でどのように取り込まれていくかを中心に発信したいです。最近ではNFTやメタバースなどに注目しています。 1989年11月7日千葉出身。大学卒業後IT企業に入社。2017年にブロックチェーンの技術ライターとして独立。 Twitter
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